マチルダ、ツクリオ他、家庭料理サブスクサービスの現状と財務状況

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家庭料理サブスクサービス市場の概況

献立を考え、買い物をし、調理する。家庭の夕食づくりを継続的に引き受けるサービスが、テイクアウトや定期配送の形で広がっている。利用者にとっての価値は、食事を用意する時間だけでなく、毎日の段取りを減らせることにもある。

背景の一つが共働き世帯の増加だ。総務省「労働力調査」の詳細集計を整理した労働政策研究・研修機構の資料では、夫婦ともに非農林業雇用者である世帯は2025年に1,333万世帯となり、2024年の1,300万世帯から増えている。統計の整理、2024年の集計解説

マチルダは近隣のステーションで日替わりの家庭料理を受け取るモデル、Antwayの「ツクリオ」とAIVICKの「シェフの無添つくりおき」は冷蔵のおかずを家庭に届けるモデルだ。homealやわんまいるなどの冷凍サービスは、必要な日に食べられるストックとして夕食準備を支える。本稿では家族向けサービスを中心に、個食・嗜好・栄養設計に対応する冷凍サービスも比較対象に含める。マチルダ、ツクリオ、AIVICK、homeal、わんまいる

成長の一例として、Antwayは2026年7月に年間流通取引総額(GMV)100億円への到達を公表した。ただし、GMVは同社の会計上の売上高と同義ではない。Antwayの発表

市場全体の参考指標では、矢野経済研究所が2024年度の食品宅配市場を前年比1.7%増の2兆6,380億円と推計している。これはネットスーパーや生協、外食宅配などを含む8分野の合計であり、家庭料理サブスク単独の市場規模ではない。本稿対象の市場規模や各社シェアは、確認できた資料からは算出していない。食品宅配市場の調査発表

表で分析

対象は9社。資金調達、損益、純資産、資本関係を整理した。調達情報は今回確認できた公表資料に基づき、金額は億円単位に換算している。利益・財務情報は各社単体の決算で、売上を記載しない貸借対照表公告が多い。

9社の調達・財務比較金額:億円 / 確認日:2026.10.12

横にスクロールして9項目を比較できます。社名は左端に固定されます。

家庭料理サービス9社の資金調達、これまでの出資者、売上、利益、財務とEXITの比較
社名 サービス名 直近調達情報 累計調達情報 これまでの出資者
(確認できた履歴)
売上(決算期) 利益 財務情報(総資産・純資産・流動比率) EXIT状況
株式会社マチルダ マチルダ近隣受け取り 2026年2月:シリーズB、増資4.1億円 調達 未確認
2023年 シリーズA
W fund、ANRI、Future Food Fund、ココナラスキルパートナーズ、三菱UFJキャピタル、オリックス・キャピタル、ロッテベンチャーズ・ジャパン、東京メトロ
2023年発表
2026年 シリーズB
ロッテベンチャーズ・ジャパン、オリエンタルランド・イノベーションズ、POLA ORBIS CAPITAL
2026年発表
公告に記載なし 純損失
1.29億円
2024-12-31決算
総資産 3.78億円
純資産 1.98億円(計算)
流動比率 187.9%
2024-12-31 公告
M&A・上場公表未確認
株式会社Antway ツクリオ(旧つくりおき.jp)冷蔵配送 2025年11月:シリーズD、約33億円(増資・融資) 調達 約65億円(増資・融資) 出典
2021年
ニッセイ・キャピタル、DIMENSION、ジャフコ グループ、KDDI Open Innovation Fund 3号、SMBCベンチャーキャピタル
2021年発表
2023年 シリーズC
ジャフコ グループ、日本インパクト投資2号、プレコフーズ、住商ベンチャー・パートナーズ、三菱食品、S.O.W.ホールディングス、SMBCベンチャーキャピタル
2023年発表
2025年 シリーズD
SMBC-GBグロース1号、ジャフコ グループ、KDDI Open Innovation Fund 3号など
2025年発表
最新売上未確認 最新決算未確認 最新決算未確認 M&A・上場公表未確認
株式会社AIVICK シェフの無添つくりおき/FIT FOOD HOME/FIT FOOD100冷蔵・冷凍 最新ラウンド未確認。2020年3月の増資3億円を確認 調達 15億円以上(基準日・内訳未確認) 出典
2020年
DEFTA Partners、京信イノベーションCファンド、名称非開示の事業会社
2020年発表
公式投資家紹介
立命館ソーシャルインパクトファンド(出資時期未確認)
公式紹介
最新売上未確認 最新決算未確認 最新決算未確認 M&A・上場公表未確認
homeal株式会社 homeal家族向け冷凍 2022年3月:増資・融資の合計1億円 調達 未確認
2022年
千葉道場ファンド、W ventures、ハリズリー
2022年発表
最新売上未確認 最新決算未確認 最新決算未確認 M&A・上場公表未確認
株式会社ファミリーネットワークシステムズ わんまいる家族向け冷凍 2025年2月:協調融資、額非開示 調達 未確認 株式出資者は未確認
日本政策金融公庫・池田泉州銀行は融資元であり、出資者としては記載しない。
最新売上未確認 最新決算未確認 最新決算未確認 M&A・上場公表未確認
ナッシュ株式会社 nosh冷凍宅配 増資による直近調達額未確認 調達 未確認
2019年 増資
ハウス食品グループイノベーションファンド
ハウス食品の発表
2025年 既存株式取得
ダスキン(比率非開示)
ダスキンの発表

ハウス系ファンドの現在保有・EXITは未確認。ダスキンへの売り手も未確認。

公告に記載なし 純利益
10.76億円
2026-05-31決算
総資産 94.77億円
純資産 45.98億円
流動比率 112.5%
2026-05-31 公告
2025年7月:ダスキンが株式の一部取得。額・比率非開示 出典
株式会社DELIPICKS DELIPICKS冷凍宅配 2024年12月:出資発表、額非開示 調達 未確認
2024年 出資発表
アグリビジネス投資育成
出資資料
出資時期未確認
Future Food Fund
会社公式の出資案内
公告に記載なし 純損失
2.12億円
2024-10-31決算
総資産 2.85億円
純資産 0.60億円(計算)
流動比率 142.2%
2024-10-31 公告
M&A・上場公表未確認
株式会社Greenspoon GREEN SPOON冷凍宅配 新規調達額未確認 調達 未確認
2020年
アカツキのHeart Driven Fund(Dawn Capitalの前身)、泉州屋、その他個人投資家
2020年発表
2024年 M&A
江崎グリコが全株式取得。Dawn Capitalも出資先のM&Aを公表
グリコの取得発表 / Dawn Capitalの発表

2025年12月末はグリコ議決権100%。旧出資者を現株主として扱わない。投資家別売却額・回収倍率は未確認。

公告に記載なし 純損失
2.47億円
2025-12-31決算
総資産 16.19億円
債務超過 6.04億円
流動比率 82.1%
2025-12-31 公告
2024年6月3日:グリコが全株式取得(M&A型EXIT)。2025年12月末の議決権100%。旧投資家の売却額・回収倍率は未確認。取得発表 / 保有割合
株式会社YOUR MEAL YOUR MEAL/Muscle Deli冷凍宅配 新規調達額未確認 調達 未確認
2021年(旧Muscle Deli)
三菱UFJキャピタル、竹内真氏など
2021年発表
2023年 M&A
DM三井製糖グループが株式取得。現在の議決権100%はEXIT欄に記載
M&A発表

旧出資者の個別の売却時期・条件は未確認。

公告に記載なし 純損失
2.44億円
2026-03-31決算
総資産 2.97億円
債務超過 1.35億円
流動比率 66.0%
2026-03-31 公告
2023年7月:DM三井製糖によるM&Aで子会社化。2026年3月末の議決権100%。旧投資家の個別売却時期・条件は未確認。M&A発表 / 保有割合

「これまでの出資者」は、公開資料で確認できた過去の出資・株式取得の履歴です。全出資者の網羅を保証するものではなく、現在の株主名簿・持株比率・順位とは異なります。EXIT欄は会社のM&Aと投資家個別の売却を区別し、売却先・時期・金額が確認できないものは断定していません。

表の読み方

  • Antway・AIVICKは最新決算未確認。確認できた2020年・2021年の旧決算を現状の表に載せていない。未確認は調達・売上・利益がゼロという意味ではない。
  • 流動比率=流動資産÷流動負債×100。各決算日の表示金額から計算し、小数第1位で表示した。純資産と現預金は別の指標である。
  • DELIPICKSは株主資本が負でも新株予約権を含む純資産は正。資産-負債から計算した約0.60億円を用い、債務超過とは扱わない。
  • ナッシュは官報発行元のPDFを照合。その他の掲載決算は官報公告の転載紙面画像を照合し、発行元PDFは未取得。
  • 決算期はそろっていない。2024年の決算から、2026年の調達後の財務状態を判断することはできない。既存株式の取得代金は会社への新規資金調達と分ける。

比較から見えること

Antwayの約33億円、マチルダの4.1億円といった調達は、事業拡大を支える資金の確保を示す。一方、調達規模だけでは収益性や市場シェアは判断できない。ナッシュは確認した2026年5月期の純利益が約10.76億円で、GREEN SPOON・YOUR MEALは各掲載期で純損失と債務超過が確認できる。各社の決算日と資本関係を踏まえて読む必要がある。

株主・出資者の補足

マチルダの2026年ラウンドではロッテベンチャーズ・ジャパン、オリエンタルランド・イノベーションズ、POLA ORBIS CAPITALが参画。Antwayの2025年ラウンドにはSMBC-GBグロース1号、ジャフコ グループ、KDDI Open Innovation Fund 3号などが参加している。これらは出資実績で、現在の持株比率・順位は未確認だ。マチルダの発表、Antwayの発表

AIVICK、homeal、DELIPICKSの出資者情報も上表に記載したが、現在の主要株主順位・比率は未確認。GREEN SPOONとYOUR MEALの議決権100%は上表の親会社資料、ナッシュへのダスキンの一部株式取得は同社発表で確認している。融資元の金融機関を株主として扱わない。

今後の考察

以下は、各社の提供形態と確認できた数字を踏まえた考察である。

① 成長を支えるのは、家庭の予定に合う使いやすさ

受け取り型は帰宅・送迎の動線、冷蔵型は家族で使える量と配送頻度、冷凍型は保管場所や食べる日の自由度が継続利用の鍵になる。価格や味に加え、家庭の生活に無理なく組み込めるかが競争軸になると考えられる。

② 利用者数の拡大と、製造・配送の採算を両立できるか

受け取り拠点や配送先ごとの注文密度、キッチン稼働率、廃棄、製造・配送費が採算を左右する。規模拡大が利益につながるかを見るには、継続率や顧客獲得費用も必要だが、各社を同じ基準で比較できる数値は今回十分に確認できていない。

③ 増資・融資・大手企業との資本関係で成長経路が分かれる

独立企業の資金調達に加え、完全子会社化や一部株式取得も見られる。今後は、調達額だけでなく、製造・販売面の協業や買収後の損益改善が実際に表れるかを追いたい。親会社があることだけで財務の安定性を断定しない。

④ 次の決算で確認したいのは、利益と純資産の変化

ナッシュは黒字の継続、GREEN SPOON・YOUR MEALは損失と純資産の変化、マチルダ・DELIPICKSはその後の損益と資本の動きを確認したい。Antway・AIVICKなどはまず最新決算の把握が必要だ。単年の利益や純資産だけから、資金繰りや事業の成否を決めつけることはできない。


資料確認日:2026年10月12日。対象企業の選定と今後の考察は編集上の判断。表示金額は丸めており、出典の表示単位・決算日を確認している。

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