復活企業特集|NEC・6701
NECの20年を検証
売上拡大から、利益率を高める成長へ
20年前・15年前・10年前と直近5期の業績・事業構成・人員・年収を比較
調査基準日:2026年10月14日/通期決算:2026年3月期まで/株価:2026年9月30日まで
比較時点:2006年3月期(20年前)、2011年3月期(15年前)、2016年3月期(10年前)、2022~2026年3月期(直近5期)。
NECの復活を数字で見る
復活企業の分析|最高・最低・現在
売上高・売上収益
最高2001年3月期5兆4,097億円
最低2017年3月期2兆6,650億円
現在〈直近通期〉2026年3月期3兆5,827億円
時価総額
最高〈会社資料の記録〉2025年11月21日8.1兆円
最低〈安値ベース〉2012年7月24日約2,500億円
現在2026年10月14日終値時点7兆722億円
連結従業員数
最多〈確認範囲内〉1999年3月末157,773人
最少2016年3月末98,726人
現在〈直近年度末〉2026年3月末101,800人
比較範囲:最低・最少は最盛期以降から2026年10月14日までに確認した公表値。最多は今回照合した1997年以降の年度末値で、創業以来の全期間を保証するものではありません。売上最高は当時公表値で、後年の修正再表示や会計基準・連結範囲の変更があります。時価総額の最高は会社資料の記録、最低は日中安値ベース、現在は終値ベースです。売上・人員は最新の通期・年度末実績、人員減少には事業売却・連結除外も含みます。
時価総額の最低・現在は、株価に発行済株式数を乗じた当サイト算出値です。最低:約2,500億円=2012年7月24日の日中安値96円×2012年3月末の発行済株式数2,604,732,635株。現在:約7兆722億円=2026年10月14日終値5,184円×発行済株式数1,364,249,315株。自己株式を含む発行済株式総数を使用しています。最高の8.1兆円は会社資料の公表値です。
出典:NEC・2001年年次報告書/NEC・過年度業績推移/2026年3月期決算短信/2026年3月期有価証券報告書/2030中期経営計画・資料5頁/NEC・2012年年次報告書。
1. 売上・利益・人員・年収:20年前からの節目と直近5期
| 決算期 | 会計基準 | 売上高・収益 億円 |
営業利益等※ 億円 |
当期利益 億円 |
営業利益率等※ | 連結従業員 人 |
単体平均年収 万円 |
原本 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2006年3月期 | 米国基準※ | 48,249 | 954 | 121 | 2.0% | 154,180 | 743.3 | 有報 |
| 2011年3月期 | 日本基準 | 31,154 | 578 | -125 | 1.9% | 115,840 | 698.1 | 有報 |
| 2016年3月期 | IFRS | 28,248 | 914 | 759 | 3.2% | 98,726 | 833.7 | 有報 |
| 2022年3月期 | IFRS | 30,141 | 1,325 | 1,413 | 4.4% | 117,418 | 814.5 | 有報 |
| 2023年3月期 | IFRS | 33,130 | 1,704 | 1,145 | 5.1% | 118,527 | 842.9 | 有報 |
| 2024年3月期 | IFRS | 34,773 | 1,880 | 1,495 | 5.4% | 105,276 | 880.4 | 有報 |
| 2025年3月期 | IFRS | 34,234 | 2,565 | 1,752 | 7.5% | 104,194 | 963.1 | 有報 |
| 2026年3月期 | IFRS | 35,827 | 3,599 | 2,702 | 10.0% | 101,800 | 993.9 | 有報 |
当期利益は少数株主・非支配持分控除後。金額は億円単位で四捨五入。2006年は米国基準、2011年は日本基準、2016年以降はIFRS。会計基準・連結範囲が異なるため、同条件の成長率ではありません。※2006年の954億円は米国基準の「その他の損益・税金等控除前利益」を営業利益相当額として表示(有報のセグメント調整後合計95,426百万円)。IFRSの営業利益とは定義が異なります。2006年の当期利益には非継続事業損益を含みます。
20年前より売上規模・連結従業員数は小さくなっていますが、近年の営業利益率は改善しています。2006年には半導体、パソコン、携帯電話などを含み、2011年には半導体事業の連結除外の影響もあるため、人員減少をそのまま解雇人数とみなすことはできません。2016年にも給与対象者の扱いが変わっており、20年間の給与推移も同一集計条件ではありません。
2. 事業ポートフォリオ:国内ITを軸に、ソフトウェアと社会インフラへ
NECは2016年時点ですでに社会ソリューション事業を重視していました。この10年を「パソコン・携帯電話から初めてITへ転換した期間」と捉えるより、既存の法人・公共向け事業を選別し、採算と継続収益を重視する方向を強めた期間と見るのが適切です。
| 変化の軸 | 具体的な動き | 評価できること |
|---|---|---|
| 国内ITの採算改善 | BluStellarによるDX、低採算案件の見直し、業務・開発の効率化 | 売上拡大だけに依存しない利益成長 |
| 海外ソフトウェアの獲得 | 英国NPS、デンマークKMD、スイスAvaloqを買収 | 公共・金融向けソフトウェアと顧客基盤を拡充 |
| 保有事業・資産の選別 | ディスプレイ事業の持分売却、日本航空電子の連結除外等 | 事業範囲の変更が売上・人員の比較にも影響 |
| 社会インフラの濃淡 | 航空宇宙・防衛等が伸長する一方、テレコムには課題 | 全事業が一様に改善したわけではない |
売上構成をドーナツグラフで比較
すべて外部顧客向けの売上高・売上収益から計算しています。セグメント間取引を含めることによる二重計上を避けています。円の大きさは共通で、会社の売上規模を表すものではありません。
5時点で見る、事業の変化
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事業の入れ替えと、集計区分の変更の両方を含む変化です。各区分の面積が、そのまま同一事業の成長・縮小を示すものではありません。
2006年3月期
半導体・端末を含む構成
米国基準・当時区分
- ITソリューション38.9%
- ネットワークソリューション34.9%
- エレクトロンデバイス15.8%
- その他10.3%
IT・ネットワークに加え、エレクトロンデバイスが15.8%。パソコンや携帯電話も各事業に含む。
2011年3月期
半導体の連結除外後
日本基準・当時区分
- ITサービス25.8%
- プラットフォーム12.1%
- キャリアネットワーク19.4%
- 社会インフラ10.2%
- パーソナルソリューション24.6%
- その他7.9%
パーソナルソリューションが24.6%。現在よりも端末・機器の存在感が大きい構成。
2016年3月期
公共・法人と通信が柱
IFRS・当時区分
- パブリック27.3%
- エンタープライズ10.6%
- テレコムキャリア24.7%
- システムプラットフォーム25.8%
- その他11.6%
公共・法人向け、通信、システム基盤に分かれる構成。事業区分は顧客軸と製品軸の組み合わせ。
2022年3月期
海外事業を独立表示
IFRS・当期公表区分
- 社会公共13.3%
- 社会基盤21.6%
- エンタープライズ19.1%
- ネットワークサービス17.0%
- グローバル16.1%
- その他13.0%
グローバルが16.1%。公共・法人・通信と並ぶ形で、海外事業の規模を表示。
2026年3月期
ITサービスに集約
IFRS・2026年3月期区分
- ITサービス70.0%
- 社会インフラ26.1%
- その他3.9%
ITサービスが70.0%。社会インフラ26.1%と合わせて、主な事業を2区分で表示。
現在の事業構成と直近3年の採算
2026年3月期の区分に組み替えられた比較値を使用します。区分変更が多いため、過去10年を同一セグメントの構成比として接続していません。
| セグメント | 2024年3月期 売上/調整後営業利益 |
2025年3月期 売上/調整後営業利益 |
2026年3月期 売上/調整後営業利益 |
2026年3月期 売上構成比 |
|---|---|---|---|---|
| ITサービス | 22,678/1,857 | 24,598/2,518 | 25,089/3,367 | 70.0% |
| 社会インフラ | 8,128/329 | 8,321/605 | 9,353/743 | 26.1% |
| その他 | 3,967/239 | 1,315/△30 | 1,385/△41 | 3.9% |
単位:億円。売上は外部売上。出典:NEC・業績推移(2026年4月28日)、2026年3月期決算説明資料。調整後営業利益は買収に伴う無形資産償却等を調整した会社指標で、年次表のIFRS営業利益とは異なります。全社費用等もあるため表の利益合計は連結営業利益に一致しません。2026年4月以降の新セグメントとは区別しています。
国内ITサービスでは、2026年3月期の売上が2兆1,755億円、調整後営業利益が3,050億円となり、利益率は前期の10.9%から14.0%へ改善しました。BluStellarは売上7,050億円、調整後営業利益1,020億円で、国内IT売上に占める比率が25%から32%に上昇しています。売上の量以上に、成長領域の構成と採算の変化が利益を押し上げたことが読み取れます。
海外のDGDF事業は売上3,335億円、調整後営業利益317億円。一方、テレコムの調整後営業利益は前期506億円から200億円へ減少しました。海外買収や社会インフラを含めたすべての領域が、同じ速度で改善しているわけではありません。
出典:NEC・2026年3月期決算説明資料。国内ITの売上増加率は公表値で約1.9%。事業移管等を除いた会社説明の実質増収率と混同しないようにしています。
主な買収・事業売却
| 時期 | 対象・内容 | 公表金額等 | 事業上の位置づけ/原資料 |
|---|---|---|---|
| 2018年 | Northgate Public Services(現NEC Software Solutions UK)買収 | 4.75億ポンド 発表時約713億円 |
英国の公共向けソフトウェア基盤。買収発表 |
| 2019年 | KMD買収 | 80億デンマーククローネ 発表時約1,360億円 |
デンマークの公共・金融等向けIT。買収発表 |
| 2020年 | Avaloq買収完了 | 20.5億スイスフラン 発表時約2,360億円 |
金融機関向けソフトウェア。完了発表/取得価額資料 |
| 2020年 | NECディスプレイソリューションズの66%をシャープへ譲渡 | NEC持分34%を継続保有 | ディスプレイ事業の資本構成変更。新体制発表 |
| 2024年 | 日本航空電子工業を連結子会社から持分法適用会社へ | 2025年10月には保有株式の譲渡を発表 | 2024年の連結範囲変更が売上・人員にも影響。2025年の件は発表段階として記載。株式譲渡発表 |
| 2024年 | NECキャピタルソリューション株式の一部を譲渡 | 持分法適用会社から除外 | 保有資産の見直し。もともと持分法適用会社であり、売上の連結除外とは異なる。譲渡発表 |
買収額の円換算は各発表時点。通貨・為替・取得価額の範囲が異なるため、単純合算による投資総額や投資収益率の算定はしていません。
3. 「復活」をどう読むか
NECの復活で重要なのは、時代の変化に合わせて事業ポートフォリオを変え、その転換を実行するために組織・人事・収益構造の改革を重ねてきたことです。半導体や端末を含む事業構成から、公共・法人向けITサービスや社会インフラを中心とする構成へと、事業売却・再編と買収の両面で転換を進めました。
ただし、その変化には長い時間を要しました。売上高がピークだった2001年3月期から、売上収益が底となった2017年3月期までに16年が経過し、翌2018年3月期には増収となりました。途中にも増収年度はあるため、この間ずっと減収が続いたわけではありませんが、長期的な低迷の底に至るまで約15年以上を要したことになります。
その過程では、人員削減や希望退職募集など、従業員の負担を伴う構造改革も繰り返されました。2012年には外部リソースを含む1万人規模の削減を掲げ、2018年にも希望退職を含む特別転進支援施策を実施しています。現在の回復は、事業の選択と集中に加え、こうした長年の改革を経て実現したものと見る必要があります。
出典:NEC・CSRレポート2012、2018年・特別転進支援施策の実施、2013年・経営体制の強化、財務ハイライト。事業転換と改革の位置づけは、これらの開示と本資料の比較に基づく考察です。
参考:規模の最盛期は、指標によって異なる
| 指標 | 確認した値 | 時点・位置づけ |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆4,097億円 | 2001年3月期の当時公表値。後年の修正再表示とは区別。 |
| 時価総額 | 8.1兆円 | 2025年11月21日。2026年5月の会社資料が史上最高値として明示。日中高値基準の最大額とは区別。 |
| 連結従業員数 | 157,773人 | 1999年3月末。今回照合した1997年以降の年度末公表値で最多。全創業期間の最高値とまでは断定しない。 |
| 売上ピーク年度の従業員数 | 149,931人 | 2001年3月末。上記の人員ピークと同じ年ではない。 |
出典:2001年アニュアルレポート、2026年5月12日・2030中期経営計画(資料5頁)。時価総額は会社資料で確認できた記録を採用し、日々の発行済株式数を使った全営業日の再計算はしていません。
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低迷期の底と比べると、売上高・売上収益、時価総額、連結従業員数の3指標は、いずれもプラスに転じています。それぞれ最低となった時期は異なりますが、現在値はすべて各指標の底を上回っています。売上と人員は過去の最大規模には戻っておらず、事業構成を変えながら回復してきた姿が読み取れます。