証券業の時価総額上位7社を比較|10期の収益・純利益とSBIの成長

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本記事は当サイトが独自に公開資料を収集・分析したものです。正確性・完全性を保証するものではありません。会計基準、連結範囲、収益の表示方法が異なるため、数値は各社の原資料と併せてご確認ください。

野村・大和・SBIを中心に、証券業の上場企業はこの10期でどのように変わったのでしょうか。2026年10月2日時点の時価総額上位7社について、2017年3月期から2026年3月期までの収益と純利益を比較します。持株会社はグループ全体を対象とし、松井証券は単体決算を使用します。

比較する7社と集計条件

対象の選定はストックウェザーの証券・商品先物取引業ランキング(2026年10月2日15:30表示)に基づきます。野村、大和、SBI、松井、岡三、東海東京、マネックスの順です。これは対象を選ぶための時価総額順位で、以下の収益順位とは異なります。

「売上」に相当する指標として、野村は総収益、大和・松井・岡三・東海東京は営業収益、SBIはIFRS収益、マネックスは統合報告書の営業収益を使用します。金融費用控除前後や事業範囲が違うため、同一条件の証券事業ランキングとして解釈することはできません。利益は原則として親会社株主・所有者に帰属する当期純利益、松井は単体の当期純利益です。

2026年3月期:規模と収益性の現在地

金額は億円。成長倍率は2017年3月期から2026年3月期への変化です。10個の決算期に相当し、両端間の経過期間は9年です。

会社 コード 範囲 収益(億円) 純利益(億円) 収益の成長倍率
野村ホールディングス 8604 連結・米国基準 47,584.9 3,621.3 2.77倍
大和証券グループ本社 8601 連結・日本基準 14,679.8 1,752.8 2.38倍
SBIホールディングス 8473 連結・IFRS 18,966.1 4,275.8 7.24倍
松井証券 8628 単体・日本基準 526.6 154.8 1.90倍
岡三証券グループ 8609 連結・日本基準 956.0 213.6 1.19倍
東海東京フィナンシャル・ホールディングス 8616 連結・日本基準 977.2 165.7 1.49倍
マネックスグループ 8698 連結・IFRS/統合報告書の歴年開示 836.1 109.1 1.82倍

10期の収益推移:SBIは2022年3月期に大和を上回る

7社の収益額の10期推移

SBIの収益は2017年3月期の2,619億円から2026年3月期の1兆8,966億円へ約7.24倍に増えました。今回の定義では、2022年3月期に大和の営業収益を上回っています。ただし、銀行・保険・投資などを含むグループの成長であり、証券事業だけの規模逆転を意味しません。

野村は総収益で最大ですが、受取利息と支払利息の影響が大きく出ます。2026年3月期の総収益は4兆7,585億円、金融費用控除後の収益は2兆1,677億円です。2017年3月期との倍率も総収益は約2.77倍、金融費用控除後は約1.54倍に変わります。この差は、金利に左右される総額表示の指標を読むうえで重要です。

成長率で見る:事業の拡張と回復を分けて考える

2017年を100とする収益の成長指数

SBIの伸びが大きい一方、他社にも変化があります。松井の2026年3月期営業収益は526.6億円で、2017年3月期の約1.90倍。東海東京は約1.49倍、岡三は約1.19倍です。株式市場の活況による回復、収益源の変化、買収による連結範囲の拡大は、同じ増収でも意味が異なります。

マネックスについては特に注意が必要です。マネックス証券の連結除外や非継続事業の表示により、現在の業績ハイライトと統合報告書の歴年一覧で収益額が一致しない期があります。本稿の折れ線は統合報告書2026の歴年開示を使用し、現在の事業範囲に10期を組み替えた数字ではありません。純粋な既存事業の成長率として読むことはできません。

純利益:収益順位と利益順位は違う

7社の親会社帰属純利益の10期推移

2026年3月期の純利益はSBIが4,276億円、野村が3,621億円、大和が1,753億円。SBIは収益額で野村を下回る一方、純利益では上回ります。しかし、一時的な評価益・売却益や連結化に伴う利益が含まれうるため、単年度の最終利益だけで恒常的な稼ぐ力を判断できません。

マネックスは2024年3月期に312.9億円、2025年3月期に50.7億円の赤字、2026年3月期に109.1億円の黒字と、変動が目立ちます。野村も2019年3月期に赤字となっています。こうした年を折れ線に残すことで、好調な直近期だけでは見えない利益の振れを確認できます。

収益順位の変遷

対象7社の収益順位の10期推移

順位は本稿の対象7社内で計算したものです。対象は現在の時価総額上位7社に固定しているため、過去の業界全体の順位を再現していません。また、会計基準や収益の表示方法の違いを含む参考比較です。SBIの2位への上昇に加え、岡三・東海東京・マネックスの順位が入れ替わる様子が確認できます。

金融費用控除後の収益を補足

次の指標は総額表示の影響を考えるための補足です。名称・算入範囲が異なるため、証券事業のみの比較としては使用できません。SBI・岡三は本表に同一定義の値を補っていません。

会社 2026年3月期・金融費用控除後等(億円)
野村ホールディングス 21,677.1
大和証券グループ本社 7,204.3
松井証券 490.9
東海東京フィナンシャル・ホールディングス 919.2
マネックスグループ 731.1

補足:SBI証券と松井証券の2026年3月期

グループ全体とは別に、証券会社の開示も確認します。SBI証券は連結、松井証券は単体であり、対象範囲は完全には一致しません。金額は億円です。

2026年3月期/単位:億円

会社・範囲 営業収益 純営業収益 営業利益 純利益
SBI証券
連結
2,846.3 2,425.4 867.5 536.0
松井証券
単体
526.6 490.9 234.6 154.8

SBI証券の営業収益はSBIグループ全体の収益約1兆8,966億円とは大きく異なります。銀行・保険などを含むグループ全体と証券会社の業績を分けて見る必要があります。なお、会計基準や連結消去の違いがあるため、両者の比率をそのまま証券事業の構成比として扱うことはできません。

出典:SBI証券・2026年3月期決算説明資料 p.2、松井証券・2026年3月期決算報告資料 p.5。

各社の10期データ

単位:億円。各欄は「収益/純利益」。負数は赤字です。

3月期 野村 大和 SBI 松井 岡三 東海東京 マネックス
2017 17,155.2/2,396.2 6,165.0/1,040.7 2,619.4/324.6 277.3/107.0 806.4/104.9 654.1/119.9 458.3/3.0
2018 19,721.6/2,193.4 7,126.0/1,105.8 3,370.2/466.8 322.1/129.1 819.2/58.5 852.6/254.0 536.4/67.3
2019 18,351.2/-1,004.4 7,205.9/638.1 3,514.1/525.5 273.1/95.6 678.8/8.5 647.7/10.8 521.8/11.8
2020 19,524.8/2,170.0 6,722.9/603.5 3,680.6/374.9 241.5/61.4 650.4/36.3 616.9/27.6 532.3/30.1
2021 16,172.4/1,531.2 5,761.7/1,084.0 5,411.4/811.0 300.8/102.8 672.6/60.2 693.6/90.9 779.0/143.5
2022 15,940.0/1,430.0 6,194.7/948.9 7,636.2/3,668.5 306.2/114.4 737.8/100.7 809.8/131.5 887.8/130.2
2023 24,867.3/927.9 8,660.9/638.8 9,569.8/354.4 310.7/78.2 665.5/5.3 733.8/19.5 793.0/33.9
2024 41,572.9/1,658.6 12,774.8/1,215.6 12,105.0/872.4 368.0/97.9 845.1/131.7 892.0/101.9 876.8/312.9
2025 47,367.4/3,407.4 13,720.1/1,543.7 14,437.3/1,621.2 392.0/105.0 819.4/116.5 863.3/110.5 745.2/-50.7
2026 47,584.9/3,621.3 14,679.8/1,752.8 18,966.1/4,275.8 526.6/154.8 956.0/213.6 977.2/165.7 836.1/109.1

時価総額の伸びは日経平均を上回ったか

2017年3月期末から2026年3月期末までの9年間について、各社の時価総額の増加倍率を日経平均株価の増加倍率と比べます。日経平均は18,909.26円から51,063.72円へ約2.70倍(約170%増)となりました。各社の時価総額も開始時点を100として指数化すると、市場評価額の拡大の違いが分かります。

以下はOpenFilingの各期末の時価総額表示値から計算した概算です。兆円単位の表示には丸めがあるため、倍率の細かな差ではなく、日経平均を上回るかどうかと大まかな規模感をご覧ください。元データに欠損がある年度を補間せず、ここでは両端の期末を比較しています。

各社の時価総額の成長倍率と日経平均を比較した概算グラフ
2017年3月期末を100とした2026年3月期末の水準。破線は日経平均の約270。時価総額の表示値には丸めを含みます。
会社・指標 2017年→2026年 伸びの比較
SBI 約5.2倍 日経平均を上回る
マネックス 約2.2倍 日経平均を下回る
大和 約1.7倍 日経平均を下回る
野村 約1.3倍 日経平均を下回る
岡三 約1.2倍 日経平均を下回る
東海東京 約1.1倍 日経平均を下回る
松井 約1.1倍 日経平均を下回る
日経平均株価 約2.7倍 比較基準

SBIの拡大が目立ち、他の6社は日経平均の伸びを下回る

対象7社のうち、期間全体の時価総額の伸びが日経平均を上回ったのはSBI(約5.2倍)でした。次いでマネックスが約2.2倍となりますが、日経平均の約2.7倍には届きません。大和は約1.7倍、野村は約1.3倍、岡三・東海東京・松井は約1.1〜1.2倍という結果です。収益が拡大していても、市場評価額が同じ倍率で増えるとは限らないことが分かります。

時価総額の増加と株主の投資リターンは別の指標

時価総額は株価と株数の両方で変わります。増資で株数が増えれば株価が横ばいでも時価総額は拡大し、自己株式の取得・消却でも変わります。SBIの拡大を読む際も、利益や事業範囲の変化と併せて株数の変化を確認する必要があります。この比較だけで「SBI株の値上がり率が日経平均を上回った」とは判断できません。

日経平均は225銘柄の株価を基にした指数で、企業1社の時価総額とは構造が異なります。配当もこの比較には含めていません。また、始点と終点の伸びの比較であり、値動きの連動性や相関係数を示すものではありません。

出典: OpenFiling(https://openfiling.app)の財務指標ページ(SBI、マネックス、大和、野村、岡三、東海東京、松井)の表示値を当サイトで指数化・分析。確認日:2026年10月3日。日経平均の各年度末の終値と出典は下記をご覧ください。

日経平均の年度末終値と出典を確認する

各年3月の最終取引日の終値。3月31日が休場の場合は直前の取引日を使用しています。

比較から見えてくること

SBIの収益拡大は、ネット証券の伸びだけで説明するより、銀行・保険・投資を含む事業ポートフォリオの拡張として読むほうが適切です。一方、野村と大和の総収益には金利環境の影響が大きく、金融費用控除後の収益も併せて確認する必要があります。松井・岡三・東海東京・マネックスも、事業構成と連結範囲が同じではありません。規模、成長、利益の安定性を分けて見ることで、単純な順位では捉えにくい違いが見えてきます。

出典・原資料

収集日:2026年10月3日。野村・大和は公式年次Excel、SBIは10年間の連結財務サマリー、松井は統合報告書2025と2026年3月期決算資料、岡三は2018・2020・2022・2024・2026年のアニュアルレポート、東海東京は統合報告書2026 p.87、マネックスは統合報告書2026 p.57を使用。遡及修正等は採用した原資料の表示に従います。

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